【その時そこには歌があった】青梅街道最速の男(青い珊瑚礁)

この歌を聴くと思い出すあの出来事。あの出来事を思い出すといつも頭の中で流れる歌。そんな歌と思い出のリンクが誰しも必ず一曲はあると思います。ここではそんな私の個人的な歌と思い出のリンクをツラツラ書き連ねていきます。

青い珊瑚礁の思い出

あれは私がまだ東京に住んでいて、高円寺から新宿まで自転車で通っていた頃の話。

いったいどこから来てどこへ行くのか。

毎朝私を物凄いスピードで追い越していくおじさんがいた。しかも私より一回り以上小さい車輪のチャリで。

はっきり言って、この辺じゃそーとーいい走りをしてるつもりだった。

通勤時の私の「青い珊瑚礁」を聞きながら漕ぐペダルの回転数を見くびらないで欲しい。完全に南の風に乗って走っているからね。

そんな私が毎回背中を見失う彼は、間違いなく8時台の青梅街道最速の男。いつも中野坂上を下った辺りの横道からグイーンと私の前にフレームインしてくるのだが、とにかく速さがハンパじゃない。

そしてハンパないのが速さだけではないのがこのおじさん。何が凄いってそのスタイル。 毎日ダルダルの白いTシャツに半ズボン。

それはとある夏の夜。

寝っ転がってテレビなど見ていると、台所から煙がもくもく。

最初は女房がサンマでも焼いているんだろうと落花生をポリポリやりながらチャンネルを変えたりしていたが、次第に薄らいでいく視界。

「洋子ーっ!何やってんだ!」

怒鳴ってみたものの返事が無い。

ん?そう言えば洋子のやつ同窓会がどうのって・・・

「火事だーっ!!!」

って飛び出して来たかのようなお父さんの姿。

そんな着の身着のまま木の実ナナなスタイルのおじさん。 夏だけならまだいいが、冬の寒い日もしんしんと雪が降ろう日も年中夢中のナナスタイル。

「おいおじさん!あんたこの雪が見えねぇのかい?」

そう注意しようにも全く追いつけない。早すぎて。

ある時、バイク便と並走してたのを見た時は驚きを通り越して大爆笑。 間違いなくメット着用義務ありのスピード。だのに、薄着。

しばらく見かけない日があった時は、とうとう風になったのかと心配していたものの、気がつけばいつの間にかまた私の前を走っていたおじさん。

ついに最後までそのお顔を拝見することはなかった。もしかしたらおばさんだったかもしれない。

注意

2008年当時はイヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転しても何も言われなかったが、2015年の道路交通法改正により、地域によっては罰則もあるので注意!

思い出の曲紹介

青い珊瑚礁 / 松田聖子

作詞:三浦徳子/作曲:小田裕一郎/編曲:大村雅朗

1980年リリース

ねこひげ院長
ねこひげ院長

まるで空まで駆けのぼれるようなイントロで助走、さらに聖子ちゃんの伸びやかな声でどこまでも行ける気がしたあの頃。