【グッとくる昭和サウンド第54回】否定から入る曲特集

今回の選曲はこちら
  1. さそり座の女 / 美川憲一
  2. ノー・ノー・ボーイ / ザ・スパイダース
  3. 経験 / 辺見マリ
  4. 重いつばさ / 岸田智史
  5. 死ね死ね団のテーマ / キャッツアイズ&ヤングフレッシュ

出だしから否定で入る曲を集めてみた

さそり座の女(1972年)
さそり座の女 / 美川憲一

作詞:斎藤律子 / 作曲:中川博之 / 編曲:馬飼野俊一

まずは、キングオブ否定から入る曲といえばこの曲。美川憲一さんの「さそり座の女」です。

いいえ 私はさそり座の女~ お気のす~むま~で 笑うがいいわ~

えっ?どういうこと?といきなり引き込む、出だしのインパクトときたら最高ですよね。

この曲、当初B面に収録予定だったそうなのですが、美川さんがレコード会社に直談判してA面にしたところヒットしたそうです。お金にまつわる曲特集で紹介した美川さんの「お金をちょうだい」も作曲者の中川博之さんに直談判して歌えるようになった経緯がありましたが、自身のアンテナにかかったら是が非でもモノにしたい熱い思いがあるんでしょうね。そしてそれがヒットするのが凄いです。

そしてこの「さそり座の女」が当時の星占いブームの火付け役になったそうで、翌年12星座にまつわるアルバム「星占い HOROSCOPE 美川憲一女ごころをうたう」を発売。残念ながら未聴なのですが、かなり気になります。

ちなみに美川さんは、5月15日生まれのおうし座の男。さそり座でも女でもない所も最高です。

ノー・ノー・ボーイ(1966年)
ノー・ノー・ボーイ / ザ・スパイダース

作詞:田邊昭知 / 作曲:かまやつひろし

続いては、グループサウンズから一曲。ザ・スパイダースの「ノー・ノー・ボーイ」。曲の雰囲気もありますが、ノーといいつつそこまで本気で否定しているわけではなさそうです。

好きな子の家に行きたいけど、今夜はダメと拒否される、でも諦めきれずにドアの外でちょっとだけというお願いをするという可愛らしい歌ですが、作詞はスパイダースのメンバーに恐れられていたというリーダーの田邊昭知さん。

ちょっと意外です。ただ、このギャップがリーダーの資質ということもありますもんね。

そして、作曲はかまやつひろしさん。歌謡曲的なメロディーが主流な中、洋楽の風を吹かせたとも言える洗練されたメロディーは当時画期的だったようです。

令和の今聴いても素敵な曲です。

経験(1970年)
経験 / 辺見マリ

作詞:安井かずみ / 作曲:村井邦彦

続いては、否定というか拒否というか。辺見マリさんのセクシーな声と手の振りでおなじみ「経験」。

出だしはもちろん「やめて」。

やめての「て」をため息交じりの声ではっきり発音しないのは、セクシー増し増しの演出だとしても、やっぱりセクシーですよね。

遊ばれているとわかっていながら、離れられずズルズル付き合ってしまう切ない女心を歌った歌ですが、一体何の「経験」なのか歌詞中には出てきません。

そういった経験がないので私にはわかりません…。

重いつばさ(1980年)
重いつばさ / 岸田智史

作詞:川崎洋 / 作曲:岸田智史 / 編曲:梅垣達志

続いては、国民的学園ドラマともいえる「3年B組金八先生」の第1作と2作目の間に放送された、桜中学のスピンオフ的ドラマ「1年B組新八先生」の主題歌。岸田智史さんの「重いつばさ」です。

出だしは「いらない もういらない」。

岸田智史さんは、この1年B組新八先生の主人公「新田八郎太(しんでんはちろうた)」という無理やり「新八」にしたい感満載の名前で出演もされていました。

元々、本家の3年B組金八先生は岸田さんにお話が来たそうですが、スケジュールの関係で出演できず代役として事務所が提案したのが武田鉄矢さんだったそうなんです。歌手から俳優を選びたいというのがあったのでしょうか。

ただ、あのクセのある強めのキャラは、やはり武田さんの方がしっくりくると思うので、もし岸田さんが金八先生だったら、あそこまで人気が出てシリーズも続いていたかどうか。まあ実際にはわかりませんが、少なくとも「人という字の説明」も淡泊だったでしょうし、「この ばかちんがっ」というキラーフレーズも生まれなかったでしょう。

死ね死ね団のテーマ(1972年)
死ね死ね団のテーマ / キャッツアイズ&ヤングフレッシュ

作詞:川内康範 / 作曲:北原じゅん

最後は究極の否定と言ってもいいでしょう。1972~73年に放送されていた特撮テレビ番組「愛の戦士レインボーマン」の挿入歌で、敵対する組織「死ね死ね団」を歌った歌。その名も「死ね死ね団のテーマ」。

作詞はレインボーマンの原作者でもある川内康範さん。

そして、出だしはもちろん「死ね」。

19:30~20:00というゴールデンタイムに、特撮ということで恐らく子供たちがターゲットであろうと思われるのに、こんな歌詞が凶悪な歌を流してもいいのだろうかと甚だ疑問ですが、これも昭和という時代がなせる業なのでしょうか。

歌詞を見ても、70回は出てくる「死ね」(フェイドアウトで終わるので実際はもっと多い)。今なら100%作られないし、世に出ない最凶のテーマソングです。

本当に不謹慎でしかない内容ですが、ただ、歌詞の内容を深く追求せず、音として聴いたときになんてポップで口ずさみやすく、また演奏がカッコいい曲なんだろうとメチャクチャ痺れている自分がいます。

当時、子供たちだけではなく、大人も一緒に歌っていたというTwitterの投稿も見かけたことがあるので、色々な意味で心を鷲掴みしたのは間違いないのでしょう。

最後に

今回は否定から入る曲ということで、出だしが否定形の曲を集めてみました。

変なテーマですみません。意外と面白い曲が集まったと思っていますが、いかがだったでしょうか。

それでは、次回もお楽しみに。

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