【グッとくる昭和サウンド第61回】ビートルズカバー特集Part2

今回の選曲はこちら
  1. 抱きしめたい / スリー・ファンキーズ
  2. オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ / 小川知子
  3. ア・ハード・デイズ・ナイト / 松岡計井子
  4. アイム・ダウン / 内田裕也・尾藤イサオ
  5. アイ・ソーハー・スタンディング・ゼア / ザ・バッド・ボーイズ

昭和のビートルズカバーを集めてみた

抱きしめたい(1964年)
抱きしめたい / スリー・ファンキーズ

訳詞:漣健児 / 作曲:レノン=マッカートニー / 編曲:岩井直溥

まずは、イギリスで1963年に発売されたザ・ビートルズのシングル「I Want To Hold Your Hand」。

カバーしているのは、1960年代に活躍したジャニーズとならんで日本の男性アイドルグループの先駆けともいわれる「スリファン」ことスリー・ファンキーズ。

第1期、2期、3期とメンバーチェンジがありましたが、この曲が発売された時は第2期で以下のメンバー。

  • 長沢純
  • 高倉一志
  • 手塚しげお

ちなみに手塚しげおさんは、太陽にほえろのジーパン殉職シーンで、松田優作さんを撃ったあの会田役の人です。

オープリーーズ オーイェイイェイ お前を抱きしめた~い

本当に抱きしめたい気持ちがあるのか!と問い詰めたくなるような魂のない歌い方でちょっとビックリするのですが、やはり当時の文化のせいなんでしょうかね。

ロックのノリがまだまだ浸透していなかったというのもあるでしょう。ただ、これはこれで昭和らしい歌謡曲との融合で独特の風味があっていいです!

オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ(1969年)
オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ / 小川知子

作詞・作曲:レノン=マッカートニー

1968年にイギリスで発売されたオリジナルアルバム「ザ・ビートルズ」に収録された「Ob-La-Di, Ob-La-Da」。スカのリズムを取り入れた楽しい名曲ですよね。

そんな名曲をカバーしたのは小川知子さん。デビュー曲「ゆうべの秘密」では、ムーディーな大人っぽい歌唱でしたがこの曲では、比較的明るく溌溂とした声で歌っています。

サビの「オブラディ オブラダ」ですが、初回は割と普通に歌っていますが2回目からクセがある歌い方でずっと歌っています。

ライフゴーズオーン ブラッハーの「ブラッハー」も、かなり気になります。

よくソウル・R&B系のミュージシャンが気持ちが高ぶるあまり、後半独特な節で歌うことがありますが、あれを序盤からずっとやっている感じがしてすごいです。

本来のメロディーを忘れてしまいそうになるほどなので、聴いているうちにこっちの方がいいのではないかと思えてくるカバーです。

ア・ハード・デイズ・ナイト(1971年)
ア・ハード・デイズ・ナイト / 松岡計井子

訳詞:羽切美代子 / 作曲:レノン=マッカートニー

1964年に発売されたザ・ビートルズのシングル「A Hard Day’s Night」。冒頭のジャーンという印象的な不協和音で始まることでおなじみの曲ですね。

カバーしているのは、女性コーラスグループ「スリーバブルス」のメンバーとしてデビュー後、1970年代から20年以上ビートルズのカバーを歌っていたという松岡計井子さん。

朝から~晩ま~で~ 犬のよに~ 働く~

まあ、原曲でも同じような事を歌っているフレーズがありますが、全体的に暗さ、ツラさが増しているのは何なんでしょうか。あえてちょっと低めの声で歌っているのもあると思うのですが、ビートルズはもうちょっと楽しく歌っている感じがします。

原曲が、「一日中犬のように働いても、家に帰って愛する人とあったら幸せ」という歌詞に対して、「外では人は孤独で笑顔も上辺だけ」とか、「愛する人と暮らすために働く」とか、「愛がなければ働けないよ」など、ネガティブな感じのワードが結構入っているのも原因だと思います。

訳詞は、ビートルズの訳詩集などを出されている羽切美代子さん。この訳の感じからして、詩集が気になり過ぎるので是非手に入れたいです。

アイム・ダウン(1965年)
アイム・ダウン / 内田裕也・尾藤イサオ

作詞・作曲:レノン=マッカートニー / 編曲:寺内タケシ

1965年に発売された「Help!」のB面曲で、「I’m Down」。ライブではジョン・レノンがオルガンで、肘を使って弾くというパフォーマンスも見られる曲でした。

カバーしているのは、内田裕也さんと尾藤イサオさん。ロックの首領(ドン)である裕也さんというだけあって、スリー・ファンキーズとは全く異なるロックな歌唱です。

また、イントロからカッコいいのですが、演奏は寺内タケシとブルージーンズということで、全体的に楽器を弾きまくっている所もメチャクチャロックです!

原曲と比べてやり過ぎている所もありますが、全員のテンションと熱量が高くて好きですね。これを、原曲発売と同じ年にやっているのが凄いです。

アイ・ソーハー・スタンディング・ゼア(1973年)
アイ・ソーハー・スタンディング・ゼア / ザ・バッド・ボーイズ

作詞・作曲:マッカートニー=レノン

最後は、アルバム「Please Please Me」のA面1曲目に収録されている「I Saw Her Standing There」。疾走感があるカッコいい曲ですよね。

カバーしているのは、もともとザ・ビートルズのコピーバンドとして知られていた「ザ・バッド・ボーイズ」。

バンド名もビートルズに由来していて、ビートルズがレパートリーにしていた、ラリー・ウィリアムズの曲「Bad Boy」から取ったというちょっとマニアックなバンド名の付け方をするだけあって、かなりのこだわりでコピーしていたようです。

メンバーは以下の4人。

  • 廣田龍人:ギター・ボーカル(ジョン・レノン役)
  • 清水仁:ベース・ボーカル(ポール・マッカートニー役)
  • 川端孝博:ギター・ボーカル(ジョージ・ハリスン役)
  • 城間正博:ドラム・ボーカル(リンゴ・スター役)

ベースの清水さんは後にオフコースに加入して活躍されていました。

この曲はそんなザ・バッド・ボーイズがザ・ビートルズのファーストアルバム「MEET THE BEATLES」を完全コピーしたといわれるアルバム「MEET THE BAD BOYS」に収録されています。

完全コピーということで、これといって特別カッコいいということもありませんが、いい感じでカバーできているのではないでしょうか。

ちなみに、デビューシングルは吉田拓郎さんの「ビートルズが教えてくれた」という冗談のような選曲。おそらく事務所やレコード会社の意向なのでしょうが、本人たちはザ・ビートルズの感じでいきたかったでしょうにちょっと可愛そうな感じがします。

最後に

今回は、ジョン・レノン没後40年ということでビートルズカバー特集の第二弾をお送りしました。

第一弾はこちら:【グッとくる昭和サウンド第28回】ビートルズカバー特集

本格的なカバーから、ゆるい日本語カバーまで様々なカバーがあってお楽しみ頂けたのではないでしょうか。

それでは、次回もお楽しみに。

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