パンチの効いたカバー曲を集めてみた
- 恋のホワン・ホワン / 三遊亭円丈
- ライク・ア・ヴァージン / 吹田明日香
- I WAS BORN TO LOVE YOU / 坂本忍
- 剣の舞 / 尾藤イサオ&ドーン
- あんたのバラード / 千昌夫
- STAYIN’ ALIVE / ジョーン・シェパード
恋のホワン・ホワン(1981年)
作詞・作曲:Iam Gomm・Nick Lowe / 日本語詞:有川正紗子 / 編曲:藤田大士
1979年に発売されたニック・ロウのシングル「Cruel to Be Kind(恋するふたり)」を、落語家の三遊亭円丈さんがカバーした怪曲。
何故この曲?何故落語家の円丈さんが?何故「恋するふたり」という邦題があるのにホワン・ホワンにしたのか?など、何故?が多すぎて持て余してしまいます。
爽やかなイントロからは想像できない、腰から落ちそうになる歌唱はまさに「君にはお手上げ~」です。
また、円丈さんがこれまた何故かリッケンバッカーのギターを持ってダックウォークをしているジャケットも最高です。
何回か聴いているうちに、ホワン・ホワンでないとしっくりこなくなるくらい中毒性のある曲です。
ライク・ア・ヴァージン(1984年)
作詞・作曲:Billy Steinberg・Tom Kelly / 日本語詞:売野雅勇(うりの まさお)
吹田明日香さんは、大学在学中に出場したテレビ番組「スター誕生!」で第41代グランドチャンピオンになり、1983年に「バ・ケー・ショ・ン」で歌手デビューを果たします。
シングル4枚、アルバム1枚を発売しますが、母親を日航機墜落事故で亡くして一時芸能界から離れます。復帰後は放送キャスターに転向して、リポーターや司会としても活躍されました。
この曲は、歌手としての最後のシングル(2020年5月現在)として発売された曲です。
誰もが知っている、マドンナの1984年の大ヒット曲「ライク・ア・ヴァージン」。それを同年にカバーするという思い切りのよさも最高ですが、何といってもマドンナっぽくないウィスパーボイスでのカバーは最高です。
最初は物足りなさを感じたものの、今では原曲よりこのウィスパーボイスバージョンの方が好きになってしまいました。
I WAS BORN TO LOVE YOU(1985年)
作詞・作曲:Freddie Mercury / 日本語詞:売野雅勇(うりの まさお)
そしてここでまさかのカバー曲。
あの世界的大物アーティスト「クイーン」のボーカリストであるフレディー・マーキュリーが1985年に発売した「I WAS BORN TO LOVE YOU」ですが、これを日本語詞で大胆にカバーした人がいます。その名も坂上忍。
先ほどのライク・ア・ヴァージンもそうですが、時代的に洋楽をリアルタイムでカバーするという風潮があったのでしょうか。この曲も1985年、原曲と同年にカバーされています。
それにしても、あのパワフルな歌声のフレディー・マーキュリーの曲を細い声でカバーする勇気!感服です。
私も声が細くて、いかにもロックな人の声に憧れているので気持ちは物凄くわかるのですが、歌といい歌詞といい、ただただ「スゲーな」という感想しかわきません。
坂上さんがテレビで毒を吐くたびに、この曲が効いてきますね。
でも「そばにぃ~いて~ ベイ~べ~ くぅ~れぇよぉ~」の人でしょ…?と思えば、いつでも微笑ましい気持ちになれるというものです。
他にも元ジェネレーションXのビリー・アイドル「Rebel Yell」を「MIDNIGHT DANCE」という曲名で日本語でカバーしたり、デュラン・デュランの「Careless Memories」を「DANCE NO YORU NI AI O KAWASOU」という曲名で同じくカバーしたり(しかも両方日本語詞は坂上さんが担当!)。
うらやましいのは、1984年に発売されたセカンドアルバム「CHECK IN」に収録されている「恋して夢中を抱きしめて」で、私が大好きなドクター・フィールグッドのギタリストのウィルコ・ジョンソンがギターを弾いているそうなのです。
ただ、ウィルコ本人は覚えていないそうなんですが…。
聴いた人によると、残念ながらギターの音量が小さすぎてあまり聞こえないそうです。それでも一度は聴いてみたいので、坂上忍さんのLPを是非全作品CD化して欲しいものです。
剣の舞(1979年)
作詞:なかにし礼 / 作曲:アラム・ハチャトゥリアン / 曲構成:いずみたく
続いてもツッコミ所が多くてなかなか脳で情報の処理ができない一曲。
運動会でよくかかっていた印象で、リレーの時にこれがかかるとランナーの闘争本能に火が付くことでおなじみ「剣の舞」(NOT 光ゲンジ)。
剣の舞といえば、旧ソビエト連邦の作曲家であり、指揮者でもあるアラム・ハチャトゥリアンがバレエ作品「ガイーヌ」でクルド人が剣を持って戦いの踊りを踊る場面のために制作された曲です。
それに合わせてなのか、民族衣装っぽい(?)セクシーな衣装を身にまとったコーラス&ダンスのドーンをバックに歌い、間奏では剣を持って踊っていました。
何故この曲を?何故このインストに歌詞を?何故尾藤イサオ?
本当にわからないことが多すぎる珍曲ですが、クセになること間違いなしです!
あんたのバラード(1979年)
作詞・作曲:世良公則
これも本当に何故?と頭を抱えたくなる頓珍カバーです。
当番組の第27回放送「ハスキーボイスを堪能しよう」でも紹介した、世良公則&ツイストのあんたのバラードを、演歌界のスター千昌夫さんが歌うというか語る、コンセプト不明な一曲。
この曲は千昌夫さんの「千くん本番ですよ」というアルバムに収録されていますが、このアルバムは「星影のワルツ」や「北国の春」といった千さんのヒット曲が入っているほか、吉幾三さんもカバーしている岡林信康さんの「山谷ブルース」や、新沼謙治さんの「口笛の港」、北島三郎さんの「与作」などカバー曲もたくさん入っているのですが、この「あんたのバラード」だけ特出して浮いている感じがします。
原曲のよさも、千さんのパンチもいい塩梅で消されてしまっていて本当に何故選ばれたのかと勝手に考え込んでしまいました。
誰か経緯をご存じの方がいたら教えてもらいたいです。
STAYIN’ ALIVE(1979年)
作詞・作曲:Bee Gees / 日本語訳詞:竜真知子
最後は千さん繋がりで、千昌夫さんの元奥様ジョーン・シェパードさんによる、ビージーズのカバーです。
シェパードさんは、アメリカでグレンミラーオーケストラの専属歌手として活躍されていたこともあり、アメリカ人なので英語はもちろん堪能なはずですが、何故か日本語詞によるカバー。
1972年に千さんと結婚されているので、この頃は日本語もかなり上手だったんでしょうか、あまり片言感はないですね。
STAYIN’ ALIVEといえば、1977年の映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の一曲ですが、当時ギリギリダンスブームにのってカバーしたのでしょうか。
それにしても、女性のシェパードさんよりビージーズの方が高いキーで歌っているのがすごいです。この曲を原曲キーで歌っている男性はグッチ裕三さんくらいしか見たことありません。
最後に
今回は何故この曲をカバーしたのだろうか特集ということで、頭に?が浮かんでしまって曲が入ってこなくなるような珍カバーをお送りしました。
次回もお楽しみに!