【グッとくる昭和サウンド第34回】裏切りの歌特集

今回の選曲はこちら
  1. 裏切りの街角 / 甲斐バンド
  2. 裏切り人形(ドール) / 美保純
  3. 裏切りの季節 / JACKS
  4. あなたがいたから僕がいた / 郷ひろみ
  5. あゝ無情 / アン・ルイス

裏切りの入った曲を集めてみた

裏切りの街角(1975年)
裏切りの街角 / 甲斐バンド

作詞・作曲:甲斐よしひろ / 編曲:今井裕・甲斐よしひろ

まずは、甲斐バンドの2枚目のシングル「裏切りの街角」。デビューして初のオリコン10位内に入ったヒット曲で、第8回日本有線大賞優秀新人賞を受賞しました。

さて、この裏切りの街角。

二人に何があったかわかりませんが、駅から旅立つ女性とそれを追いかける男性。こういう場合、男性が旅立ち女性がホームで見送るパターンが多いような気がしますが、ちょっと珍しい気がします。

裏切りが「街角」にかかっているので、この場合何がどう裏切ったのかわかりにくいですが二人生きてきたのに女性がどこかへ行ってしまうことを指しているのでしょうか。

この美しく優しいメロディーにのって、どこかへ行ってしまうあなたを残されたホームで見送っている姿を思って泣けてきます。

本当にこの曲メロディーが素敵です。歌詞の内容的にもっと激しめな曲でも合いそうですが、淡々とした曲調が切なさを助長させていてグッときます。

裏切り人形(ドール)(1982年)
裏切り人形(ドール) / 美保純

作詞:橋本淳 / 作曲:三木たかし

続いては女優、美保純さんのデビューシングル「裏切り人形(ドール)」。

美保さんは1981年ににっかつロマンポルノでデビューして、翌年にはブルーリボン新人賞を獲得。その後は山田洋二監督による国民的映画「男はつらいよ」でタコ社長の娘を演じたり、宮藤官九郎さん脚本によるNHKの大人気朝ドラ「あまちゃん」では現役の海女さん役として出演されていましたね。

さて、この「裏切り人形(ドール)」ですが、世界観が独特すぎて歌詞の内容を読んでも全体像が把握できません。

ここに出てくる男たちは大体乳房にいるというエロス設定は、ロマンポルノで活躍中ということもあっての設定なのでしょうか。

「愛する人を裏切りましょう、弱い男は生き残れないわ」

サビの部分の歌詞ですが、わざと裏切って男を強くさせようということのようですが、どういう立場で話している女性(人形)かよくわかりません。

ちなみに美保純さんの事務所ノックアウトの公式プロフィールをみると、趣味の欄に「ドールコレクション」とありますが、この曲と関係が…ないでしょうね。

美保純さんといえば、女優だけではなくNHKの情報番組「ごごナマ」でMCを担当されていたり、東京MXテレビの「5時に夢中」でコメンテーターとしても活躍されていますね。

個人的には、「5時に夢中」での中村うさぎさんとのやりとりが好きで、水曜日はよく見ていました。そのため、2015年の中村うさぎさんの降板はとても残念でした。

裏切りの季節(1968年)
裏切りの季節 / JACKS

作詞・作曲:早川義夫

続いては、JACKSのファースト・アルバム「ジャックスの世界」から「裏切りの季節」。

JACKSといえば、ボーカルの早川義夫さんのルックスといい、バンドの世界観といいアングラ感が漂うこの当時としても異色のグループでした。

この曲でも、早川さんの絶叫というか絶唱というか情念的な歌が、裏切られた絶望感を増幅させていますよね。普通に歌っても全然響かないですが、このサイケロック的なサウンドにのせたむき出しのボーカルを聴くと「な、なんだ?」と印初めて聞いた人でも印象に残ると思います。

そんなJACKSは後世のミュージシャンたちに多大なる影響を与えたグループでもあります。

1980年代の日本のパンク代表の1つスターリンの遠藤ミチロウさんも強く影響を受けたそうですし、前述の甲斐バンドもこの曲をカバーしています。

あと、この曲を初めて聞いたときに「うわっ!ゆらゆら帝国みたいだ!」と思ったのですが、ゆらゆら帝国のボーカル・ギターの坂本慎太郎さんはバンドをやりたいと思ったきっかけとなったアルバムとしてJACKSの「ジャックスの世界」をあげるほど好きだったんですね。

ベースの亀川千代さんの髪形といい、只者ではない雰囲気といい、熱唱の時の感じといいJACKSに影響を受けていることは間違いないと思われます。

あなたがいたから僕がいた(1976年)
あなたがいたから僕がいた / 郷ひろみ

作詞:橋本淳 / 作曲・編曲:筒美京平

ここからはタイトルではなく、歌詞に裏切りが入っている曲を紹介します。

まずは、郷ひろみさんの18枚目のシングル「あなたがいたから僕がいた」です。

僕に対して小さな裏切りがあったようですが、それを許したいという所まではいいと思います。そのあとの「いつだって僕の胸に飛び込んでくれるよね?」とか、「二人は離れていられない」とか、「やさしく育てた愛だから、捨てたりできない二人とも」というのが、どうも僕だけの一方的な想いじゃないのかと思ってしまいます。

あなたと僕の想いのバランスが1対9くらいに感じて、将来的にちょっと心配です。裏切られたのも「そういうとこだぞ!」と言いたくなりますね。

ちなみに郷ひろみさんですが、この曲を歌っていたのは21歳くらい。当時の映像を見ると、曲調もあるのでしょうが今のようにド派手なパフォーマンスや振り付けなどはなく、割と棒立ちで歌っていたのも逆に新鮮です。

あゝ無情(1986年)
あゝ無情 / アン・ルイス

作詞:湯川れい子 / 作曲:NOBODY / 編曲:佐藤準

最後はアン・ルイスさんの26枚目のシングル「あゝ無情」。

きーれいでしょ(フフーッ)キラキラと(フフーッ)いい女でしょ(フワフワフワフワ)

カラオケで大そう盛り上がる一曲でもありますが、誰かに裏切られたと思った時に脳内で流れるBGMは、8割方この曲ではないでしょうか。

「う~らぎりは~ な~おらない~ て~じょおぉかけてもぉ~」

意外と尽くすタイプなのに、見た目の軽さで損しているのか何度か同じ男に裏切られていそうですね。そりゃ、手錠をかけても直してくれそうにありません。

派手で、明るくてサバサバしているように女性ですが、年下の男に振り回されて甘えられたらつい許してしまう…。

あたしって一体なんなんだろう…でも、そんな私嫌いじゃない!

とかいってそうなので、まあいいんじゃないでしょうかとも思えますね。

ちなみに、第18回放送の「女性アイドルのキャラ変わりを楽しもう」でも言いましたが、サングラス外したら吹き出しちゃうほどあどけない目をしてるあいつのモデルは吉川晃司さんということで、確かに吉川さん。ちょっと怖いオーラを出していますが目は優しいですもんね。

最後に

今回は、放送日が6月2日で「裏切りの日」ということで、裏切りの歌を集めてみました。映画のように裏切りが命にかかわるものではなくて、ほとんど男女関係におけるものなのはやはり歌にしやすいからでしょうか。

調べてみると他にも昭和の裏切りの歌が結構あったので、気になる方はチェックしてみて下さい。

それでは、次回もお楽しみに。